ひと・ひと
あさかげ短歌会代表の矢野康史さん
あさかげ短歌会は1950年に設立。アララギ派の歌人・島木赤彦の写生短歌の精神を受け継ぎ、東京と信州を中心に全国で24支社ある。会員は250人。矢野さんは今年の1月に代表に就任した。「会を充実させ、多くの方に興味を持らえるようにしたい」と意気込みを語る。
短歌の世界に入ったのは40歳のころ。一宮短歌会「鵜羽川藻」を開いていた中島一男さんに出会い、入会を勧められた。情景を言葉で表現する魅力を知り、勉強を始めた。
「ボランティアの手に植えられし千枚田、棚田の水面に千の月浮く」。苗を植えたばかりの棚田に写る月の幽玄さを表現した歌で、第48回あさかげ全国短歌会で最高得点賞をとる。塩尻全国短歌フォーラムでは歌人の佐々木幸綱さんや馬場あき子さんが矢野さんの詠んだ歌を高く評価した。
「自分の伝えたい思いをわかりやすく伝えるのが大切」。作歌の際、読んだ人が浮かべるイメージに気を配っている。「表現は自由。短歌を始める人は言葉づかいなど難しく考えず、気軽に始めてほしい」と語る。現在、奈良大学の通信教育で万葉集や平安時代の文学を勉強しながら、西苫田公民館と一宮公民館で短歌教室を開いている。教室の雰囲気は和やか。「先生には親しみを感じる。」と生徒たちに人気だ。
プロフィル
歌人、津山市文化協会副会長、津山市社会教育委員会・委員。妻と2人暮らし。東一宮。70歳。