1994年に旧英田町(現美作市)で開かれた自動車レースの最高峰・F1第2戦「パシフィック・グランプリ(GP)」に出場した「音速の貴公子」こと、ブラジルのアイルトン・セナ(1960~94年)の没後と同GP開催30年の節目に、岡山県美作市湯郷のゆのごう館は当時の姿を収めた写真100点をデジタル技術で復元し、館内で公開している。
パシフィックGPの約2週間後、イタリアでの第3戦「サンマリノGP」で、事故により34歳の若さでこの世を去ったセナ。F1史に残るレーシングドライバーの1人として今も多くのファンに愛されている。観客約5万5000人が熱狂したTIサーキット英田(現岡山国際サーキット)での決勝戦では、スタート直後にリタイアしたものの、予選では1周約3.07キロのコースで同サーキット史上最速の記録をたたき出した。この記録は現在も塗り替えらえていない。
試合中に目覚ましい活躍ぶりを見せる中、宿泊先に選ばれたのがツインベッドの洋室を備えた同館。開催日の4月15~17日の間に撮影したものを地元の写真家に依頼して色鮮やかに蘇らせ、サイン色紙とレプリカのヘルメットともに特設コーナーに展示している。
笑顔でファンからの手紙を読む姿など、写真からはくつろいだ雰囲気がうかがえる。通訳としてフロントで応対した現若女将の山本陽子さん(59)は「撮影にも快く応じてくれ、穏やかで優しい人だった。実際写真を見た人は、試合で見せる険しさとは違う一面に驚いている」と話す。
午後3~7時の間は宿泊客以外も見学が可能。同館は当時の思い出を振り返る特別展示を6月に企画しており、5月末までGPやセナらを収めた写真を募集している。
問い合わせは、ゆのごう館(TEL:0868-72-1126)。