アメリカ出身の木漆工芸家・ディロング・デービットさん(45)の「木工作品展~BEGINNING(ビギニング)~」が岡山県勝田郡奈義町のそばカフェ木楽で開かれ、木が持つ素朴な美しさが際立つ意欲作に来店客が見入っている。27日まで。
20年前に来日し、木地師や漆職人の世界で修行を積んできたディロングさん。現在は真庭市蒜山地域で県重要無形民俗文化財に指定されている同地域の伝統工芸品・郷原漆器の職人として伝承に励んでいる。
郷原漆器の制作や後継者への指導に集中することから、おそらく最後となる今回の個展では、作品を作り始めた原点を振り返るとともに、今まで培ってきた技術で新たに作り出した器や皿、椀50点を出品。オイルで仕上げた光沢の中にサクラやケヤキ、カキ、カエデ、ネムノキなど素材の木目が浮かびあがり、一点一点、強い個性を放っている。このほか、木の幹の風合いをデザインとして生かしたものや漆塗りの品も並ぶ。作品は購入が可能。
津山市から来店した河野吉雄さん(84)=勝間田町=は「シンプルな形でありながらとても風情があり、趣深い。観賞だけでなく、実用品として使うことができるのも良い」と話した。デービットさんは「木の本来の色合いを楽しみながら、生活に取り入れられる工芸品として親しんでほしい」と語っている。