記者の目で見た稲葉さん凱旋コンサート|おかえり稲葉さん2017
祭りが終わった。全国から約5000人のファンが詰めかけ、熱気に包まれた街。どこまでも続く人の列は、市内では見たことのない光景だった。まるでB’zの爆発的なエネルギーが、公演前から街中にあふれ出たように思えた。
世界的アーティスト、稲葉さんが帰ってくる―。コンサートの報が飛び込んできたのは約3カ月前。官民挙げたおもてなしの準備が急ピッチで進められた。「稲葉さんや訪れるファンを歓迎し、公演を盛り上げたい」という純粋な気持ちが市民有志や関係者を突き動かした。「7・22」に向けてその波は大きなうねりとなり、人々に一体感をもたらした。
凱旋を祝すのぼりがはためき、街はB’z一色に染まった。稲葉さんの胸にどんな思いが去来しただろう。全国を追いかける熱心なファンからは「これほどの歓迎ぶりは初めて」との声も。おもてなしプロジェクトは、津山が秘めていた地域力を示す形になった。
「津山に生まれて本当によかった」。ライブ中、稲葉さんは古里への思いをこう語ったという。裏方に徹した市民が、熱唱する姿を目の当たりにすることはなかったが、地元へのメッセージは何よりのねぎらいだ。そして稲葉さんと津山との心の距離が近くなり、「絆」はより深まったと信じたい。
「お帰りなさい」。家族にかけるような温かい言葉を、再び言える日が来ることを胸を熱くして待つ。