津山洋学資料館の本年度前期企画展「資料が秘めた物語V」が、岡山県津山市の同館で始まった。歴史的背景や作者の人物像に迫った書物や品々が来館者の興味を引いている。9月8日まで。
同館の所蔵品の中から学芸員たちが選出した45点を展示。「活躍する医師たち」「榕菴の研究ノート」といった七つのテーマごとに貴重な図鑑や掛け軸などが並ぶ。
このうち、津山藩医・宇田川榕菴が記した植物の解説書『植物啓原』の色校正図では、イラストの濃淡について朱墨で修正指示し、実際の解説書がその通りに変更されていることから、出版までの苦心の跡が見える。さらに津山藩洋学者らを輩出した箕作家にまつわる「輿入れ箪笥(たんす)」の2点が初公開。箕作秋坪の娘・なおが坪井家に嫁ぐ際の嫁入り道具として持参したものと、麟祥の子孫の家に伝わっていたもので、形状がよく似ている。
このほか、”朝ドラ”にも登場した日本初の動物学者・箕作佳吉のまじめで勤勉な人柄を記した回顧録や、津山藩医の久原家に残る木製の甲冑(かっちゅう)もあり、見応えがある。
同館は「資料が作られてから収蔵にいたるまでに関わった人々をめぐるさまざまな歴史やストーリーに触れてほしい」と話している。
午前9時~午後5時。月曜休館(4月1日は津山さくらまつり期間中のためは臨時開館)。入館料一般300円、高校・大学生・65歳以上200円。
問い合わせは、同館(TEL:0868-23-3324)。