農業生産者の所得向上などを目指し、10月に設立予定の「地域商社」。市が出資する6000万円について賛否両論交わされた中、「市民に十分な説明がなされていない」との意見は確かにその通りだろう。
6000万円について市は「来季の収穫に向けた農家との交渉を今年11月から12月にかけて開始するにあたり、必要な資金を算出した結果、設立時にその額が必要になった」としている。ただ、8月に内示を受けた国の地方創生推進交付金に関し、6月の申請時点では「初年度出資金は1000万円」としていたことから、産業委員会は6倍に増額した過程や根拠などを厳しく追及した。「1000万円で設立し、様子を見ながら増資すべき」との意見も出た。スムーズな予算通過を図れなかった点は、市当局の反省材料だろう。
コロナ禍を踏まえ、市民からは「6000万円は高すぎるのでは」との声も耳にする。少なくない公金を投じる事業であり、市には今後も丁寧な説明を行う姿勢が求められる。
地域農業が衰退し、生産者が減少していく現状を見渡せば、「所得向上や担い手の育成」といった目標は、成功に向けて取り組む価値がある。商社に期待する声が聞かれるのも確かな事実だ。厳しい船出が予想されるが、好循環のビジネスモデルを官民で確立し、商社の使命を果たして農業振興や圏域の新たな魅力創出につなげてほしい。
トピック、農業生産者の所得向上などを目指し10月に設立予定の「地域商社」
- 2020年9月25日
- 行政・公共