岡山県津山市内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認された際に多くのデマや中傷が横行した問題で、感染者が勤務していたナンバホームセンターの本社=津山市=は、取材に「今後出るかもしれない当事者のために、誤った情報が人を傷付けることを認識してもらいたい」と語った。
市内では、4月24日に従業員の感染が判明。公表された後、真偽不明の情報が飛び交った。特に匿名性が高く不特定多数の人が閲覧できるSNSのツイッター、掲示板ウェブサイトなどでは、相当数の憶測やうわさが上がっていた。
「別のホームセンターでも出る」「インターが近いから県外の人に移された」「本人はパチンコ好きだったらしい」「給料をつぎ込んでいた」…。単なる冷やかしといえる発言もあり、「行き過ぎたコロナパニックが第2の津山三十人殺しを生まなきゃいいがな」など、昭和期の事件にまで話が飛躍した内容も一つや二つではない。
本社は「弊社店員についてネットにいろいろ書かれるのは想定していた。県北で初めての感染者だったのも今回の反応につながったのだろう。反対に『店が無くなると困るけん頑張ってや』と言ってくれる人もいた」と話す。励ましも含め、受けた電話は80件以上を数える。
また、感染者の家族について、仕事は教員で勤務先として院庄小や佐良山小、津山西中などの具体的な校名まで上がったが、検査結果の公表と同時にデマだったことが明らかになった。
「短時間で一気に広がった印象。根拠が全く分からない」。市教委は、誤った情報が多くの人に届いたことに驚いている。
学校には、ネットの投稿内容を含めて真実なのかを問う電話がかかった。中には保護者に一斉にメールを送って誤解を解いた小学校もある。市教委は「正しい情報に基づき、冷静に行動してもらいたい」としている。
市もホームページで、不確かな情報などに惑わされないために、国や自治体が提供する情報を入手するよう呼び掛けている。
ネット上に横行するコロナの「デマ情報」「誹謗中傷」に注意 冷静な判断を/岡山・津山市
- 2020年5月11日
- 行政・公共