優れた蘭学者や洋学者を輩出した岡山県津山市、島根県津和野町、大分県中津市による「三津同盟」の締結を記念した巡回展「文明開化と明六社─津山・津和野・中津の思想家たち─」が、津山市西新町の津山洋学資料館を皮切りに開幕した。日本初の学術団体・明六社に携わり、近代化をもたらした郷土の先人たちの貴重な資料を紹介している。9月24日まで。
明六社の結成150周年に合わせて、3市町が共同で企画。結成当時中心メンバーだった法学者の津田真道と箕作麟祥、蘭学者の箕作秋坪(津山藩出身)、哲学者の西周(津和野藩出身)、慶応義塾創設者の福沢諭吉(中津藩出身)の著書や書簡など41点を出展している。
同社の機関誌である日本初の学術雑誌・明六雑誌(明治7〜8年発行)をはじめ、憲法・行政法学書の先駆けとなる津田の著書「泰西国法論」、ナポレオン法典を全訳した箕作麟祥の著書「仏蘭西法律書 建国法」、ペリー来航時に秋坪が入手した名刺やたばこ、西周のオランダ産の懐中時計が並ぶ。
さらに、福沢の著作「学問のすすめ」の初編(初版本)や欧米滞在中の見聞記「西洋事情」、自身の信念である「独立自尊」をしたためた晩年の書、西のいとこの子にあたる森鷗外が記した伝記もあり、来館者は感心した面持ちでじっくりと見入っていた。
開幕に合わせ、同所であったオープニングセレモニーでは、同館友の会会員約20人が出席。谷口圭三市長が「素晴らしい展示をゆったりと鑑賞してほしい」とあいさつし、小島徹館長が、奥塚正典中津市長と下森博之津和野町長の祝辞を代読した。
津和野会場は9月30日から11月5日まで、津和野町郷土館。中津会場は11月11日から12月17日まで、中津市歴史博物館で開かれる。