老舗とんかつ店”復活”へ 店主の甥らが味を再現 「期待を裏切らないよう」/岡山・津山市

経済・産業 岡山県津山市二階町の喫茶店・花時計跡にできた「とん㐂」
新しくオープンした「とん㐂(とんき)」の前で真木祐治さん=岡山県津山市二階町で
         

 城下町で愛された老舗とんかつ店の味と賑わいをもう一度―。日本100名城に選ばれている岡山県津山市の津山城近くの路地に、昼になるといつも行列ができるとんかつ店があった。その名は、「とん(とんき)」という。元フランス料理のシェフだった店主が、故郷で働くことを希望し、初代から店と味を引き継ぎ、夫婦二人で切り盛り。1986年以来多くのファンに愛されてきたが、昨年10月に惜しまれながら閉店した。その後、ファンの声に応えようと店主の甥らがこの味を忠実に再現し、7日から店舗が復活することになった。

2022年10月14日に閉店したとんかつ店「とん㐂」=岡山県津山市伏見町
2022年10月14日に閉店したとんかつ店「とん㐂」=岡山県津山市伏見町

 手を挙げたのは店主の甥で同市在住の真木祐治さん(40)が共同出資者に名を連ねる「株式会社明優(めいゆう)」。馴染みのロゴマークと店名も受け継いだ。

 「多くの人たちが好きでいてくれたお店です。おいしいだけでなく、とん㐂(き)のファンの方の期待を裏切らないように、味にこだわっています」と真木さん。

 店はかつてあった路地から離れ、まちの中心にある商店街に構えた。大きな銅版とロゴマークが目をひく外観。内装は広葉樹のナラ材と針葉樹のヒノキ材をふんだんに使った、あたたかみを感じられる料亭のようなたたずまい。68平方メートルをぜいたくに使い、ゆったりと座れる8人がけのカウンターをしつらえた。畳スペースには2人用のテーブルが4台。

ゆったりと座れる8人がけのカウンタ―
ゆったりと座れる8人がけのカウンタ―

 以前、人気だったシソ巻きは「叔父にも協力してもらい、味の再現はできています。ただ、オペレーションにもう少し時間がかかりそうです」。名物かつカレーは「味の再現がかなり難しく、気長に待っていただきたいです」。

 秘伝のオリジナルソースは「食べた瞬間に思い出がよみがえるはず」と準備万全だ。

 今回の事業は「このまちで無くなったら困るものを仲間でよみがえらせる」もテーマ。真木さんは「多くの人たちの協力でここまでこぎつけることができました。美味しいものを食べたらみんな幸せな気持ちになる。そんな思いが集まり、ずっと続いていく―。そんな場所づくりがしたいです」と話している。

 店舗:とん(とんき)住所:岡山県津山市二階町58。土日祝は休み。営業時間は午前11時~午後2時。メニューは、ロース定食が100グラム1000円~、ヒレ定食3枚1000円~、かつ丼1000円、みそかつ丼1000円など。

新しい店舗「とん㐂」でとんかつを楽しむ人たち=4日正午
新しい店舗「とん㐂」のプレオープンで、再現されたとんかつが披露された=4日正午
再現されたロース定食160グラム1300円
再現されたロース定食160グラム1300円


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