岡山県真庭市北房地域で325年続く伝統の歳の市「北房ぶり市」が2日、同市下呰部の呰部商店街で開かれ、新鮮なブリを買い求める大勢の買い物客でにぎわった。
約1キロの通りが歩行者天国になり、おいしいグルメを提供する140店の露店が並ぶ中、木を組んで再現された昔ながらの「ぶり小屋」では、岡山市中央卸売市場(岡山市南区)のMKフーズ、和気町に本社を置く翔茂水産が富山県や長崎県産の天然ブリを販売。7~10キロの大きな身を出刃包丁で豪快に切りさばく姿は来場者たちを引きつけた。
商店街では真庭商工会女性部北房エリアのメンバーらが作る地元の名物「ぶり雑煮」が人気を集めたほか、特設ステージでは備中かぐら太鼓や備中神楽などが披露され、多くの人だかりができていた。家族と初めて訪れたという津山市野介代の柴田敬子さん(53)は「たくさん店があり活気にあふれていて楽しい。来年もまた来たい」と話していた。
同市は1700(元禄13)年に始まったとされ、「ぶり市の風に当たると風邪をひかない」という言い伝えも残る。一帯が伊勢亀山藩(三重県)の飛地になった際に代官が奨励して領地の繁栄を図ってから代々受け継がれている。長年の伝統を守る主催の呰部商店会。古林重幸会長(75)は「ゆかりのある三重県亀山市をはじめ、さまざまな地域や団体とのつながりを持ち、頑張っていきたい。この先何十年も続くようにと願う」と語った。