大塚製薬やグループ会社が医療関係者向けに発行している広報誌『大塚薬報』の3月号に、紀行作家・写真家の稲葉なおとさん=東京都=による津山の特集が掲載された。
全国の病院や診療所、薬局などに年間10回、無償で配布されている読み物(B5判70~80ページ)。特集は稲葉さんの写真集『津山 美しい建築の街』の掲載カットなど交え、全国に誇れる歴史的建造物の魅力を14ページにわたって紹介している。
歴史をひもときながら、美作国一宮の中山神社をはじめ、徳守神社や鶴山八幡宮は意匠や組物といった細部もクローズアップ。明治期以降では田熊の舞台、大工棟梁・池田豊太郎が設計した旧妹尾銀行林田支店、建築技師・江川三郎八が手掛けた土居銀行津山支店(作州民芸館)、津山高校本館、軒の斗栱(ときょう)が特徴的な津山文化センターなどについて、まつわる人物にふれながら詳しく説明している。
稲葉さんは取材を通じた思いを「津山に残る美しい建築を巡るうち、尽力した先達の声が何度となく聞こえてくるような気がした。―中略―心を込めて創りあげた建築は、所有者が変わり名前が変わり用途も変わろうとも、時代を超えて人の胸を打ち、残り続けるのだ、と」と記している。