NTT西日本子会社から約928万件の顧客情報が流出した事件で、岡山県警津山署は31日、子会社の元派遣社員で兵庫県芦屋市の男(63)を不正競争防止法違反(営業秘密の領得、開示)の疑いで逮捕した。山田養蜂場=同県鏡野町=は約400万件の個人情報不正流出の被害を受けていた。
逮捕容疑は、男が勤務していたNTTビジネスソリューションズ(BS、大阪市)で昨年1月17日、同社のサーバーから山田養蜂場の営業秘密である顧客情報約3万3000件分のファイルデータを不正にダウンロードして複製。名簿業者にメール送信して漏えいした疑い。売却価格は約2万円だった。「全て間違いない」と容疑を認めている。
同署によると、男は2008年からBS社に派遣社員として勤務。コールセンター業務を受託していたNTTマーケティングアクトProCX(同市)の顧客情報管理システムの保守業務に従事していた。69の企業や自治体などの928万件分の個人情報をUSBメモリーで持ち出したうえ、複数の名簿業者に情報を売却して数千万円にのぼる利益を得ていた疑いがあるとみて捜査している。
22年3月に山田養蜂場が「当社の顧客名簿が流出しているようだ」と県警に相談。捜査を進める中、男の関与が浮上した。押収したパソコンなどを解析して容疑を固めた。