石に川柳が刻まれた句碑が立ち並ぶ岡山県久米南町の川柳公園で6日、町内に住む夫婦2人の句が彫られた1基が新しく建立された。これにより園内に建てられた碑は計327基、建立した人は349人となった。
新設した石碑には同町の國忠敬子さん(64)がつくった久米南町のマスコットキャラクター・カッピーの名前を使った「カッピーの翼にのって夢を追う」と、夫で教職員の浩文さん(64)の「来世ではイスタンブルの猫がいい」が刻まれている。
敬子さんは32年前、町制施行40周年記念に同町が同キャラクターのデザインを公募していた時に投稿し、見事採用された。その後名前の募集にも夫が考えたが名が使われることになったことから思い入れが深い。そこに義父・二郎さんの手記の題名なども織り込み、「夢に向かって前向きに生きていきたい」という気持ちを句に込めた。
一方、浩文さんは2021年から約3年間、トルコの日本人学校に赴任していた時、同国内では「動物保護法」により町全体で路上の動物たちの保護に取り組んでおり、至るところでのびのびと過ごす野良猫を見かけたことを思い出して句にしたためた。
この日は第43回「句碑建立除幕式」が開かれ、出席した國忠さんの家族や主催で地元の川柳団体・弓削川柳社のメンバーら25人の前でお披露目。そばには二郎さんや親族が立てた句碑もあり、敬子さんは「還暦の祝いに建てたいと思っていたがようやく願いがかなった。この場所には家族や一族の思いが集まって形になったように感じる」。浩文さんは「本日が父の命日。良い報告ができ、父も喜んでくれるのではないかと思う」と話した。
句碑の建立は弓削川柳社が文芸振興の一環として1977(昭和52)年に同園を整備して以降、毎年募っている。
