イタリアを制作拠点に、国内のアトリエを岡山県津山市昭和町に構える彫刻家・画家の武藤順九さん(70)による大理石彫刻が24日、津山文化センター南エントランスに展示された。東日本大震災の慰霊モニュメントとして手掛けた話題作で、期間は来年4月末までの約1年間。開館し次第、一般公開される。
出身地(宮城県仙台市)に近い宮城県石巻市に来年開園する国立の震災復興祈念公園に設置される「CIRCLE WIND(風の環)2011―絆―」のファーストイメージモデルで、実物の4分の1サイズ(高さ64センチ、幅80センチ、奥行き26センチ)。震災直後に被災地を訪れた際、がれきの中で芽吹いた植物の双葉を目にして着想し、表裏が交錯する「メビウスの輪」と重ねて犠牲者鎮魂、ふるさと復興への思いを表現した。官民一体による「3.11プロジェクト」の一環で2012年制作。
ガラス張りのエントランスホール中央の台座上に設置され、同席した谷口圭三市長は「リニューアルに花を添えていただき感謝する。世界的アーティストの作品を多くの市民に鑑賞してほしい」と話した。
さらにローマ法王公邸にある代表作をはじめ、約半世紀にわたる制作の軌跡を十数枚の写真パネルで紹介。
宮城県絆大使も務める武藤さんは「実物が設置される震災から10年の節目に向け、作品に込めたメッセージを感じ、被災地に思いをはせてもらえたら幸い」としている。
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南エントランスに展示された大理石彫刻と武藤さん(右)
彫刻家・画家の武藤さんによる大理石彫刻、津山文化センターに展示される/岡山・津山市
- 2020年4月25日
- 芸術