国内の新型コロナウイルスを取り巻く状況は、新たな局面を迎えたのでないか。感染者数は、緊急事態宣言解除前後の減少傾向から再び増加に転じた。東京都は200人、大阪府は90人規模で推移し、岡山県内も8日連続で確認されている。「第2波」と見る向きもある▲そんな中、政府の観光支援事業「GoToトラベル」キャンペーンが、連休を前にした22日に始まった。旅行代金の一部を割引することで需要を喚起する狙いだが、この情勢で世間に歓迎されるだろうか▲リサーチ会社が20〜21日に、ネットで男女600人を対象に行ったアンケートの結果では、「旅行しようと思わない」が82.2%も占めた。キャンペーンの内容を理解していない人も37.6%と少なくない。これが一般的な感覚なら、開始のタイミングは決して良くないだろう。空振りに終わる可能性もある。事業の予算は1兆3500億円だ▲観光業の落ち込みは深刻で、災厄だからこそ、救いを行政に委ねなければならない面がある。ただ、地方都市には、感染者が増える都市部から観光客が来るのを怖がる人がいることも現実であり、逆に支援策が不安を増幅させているのであれば、効果的な救済方法になるとはいいづらい▲状況が変化しやすいのが新型コロナの煩わしさだ。感染防止と経済回復を両立しつつ安定性が期待できる妙案はないものか。