救急車で搬送中の傷病者の状態を病院と共有するスマホ、タブレット端末用の通信アプリを、津山中央病院(川崎)と津山圏域消防組合、真庭、美作市消防本部が導入した。心電図やけがの部位などの写真が送れることで医師がより正確に患者について把握でき、治療までの時間短縮などにつながる。
従来は、救急隊員が病院に連絡し、主に口頭で病状や症状を伝えていた。
アプリ導入の利点として、例えば、病院側のタブレット端末に送られてきた心電図の写真で心筋梗塞と特定できた場合、到着前にカテーテル治療を手配できるようにもなるという。前山博輝救急救命センター長(39)は「救急は時間との戦い。視覚情報があるのとないのでは判断する上で大きな差がある」と強調する。ビデオ機能もあり、今後は中継による処置の指示も可能にしたいとしている。
IT事業のアスクラボ(平福)が開発。操作の仕方は、多くのスマホ所有者が利用する無料通信アプリ・LINE(ライン)と同様で、セキュリティーが厳重という。津山、真庭、美作の計24台の救急車にスマホを備え、12月1日から使っている。
隊員は基本的に患者や家族の許可を得て撮影するとし、松岡栄作同組合警防課長は「客観的でより確実な情報を伝えられるようになり、地域の皆さんには理解と協力をお願いしたい」と話す。消防内部では火災、救助の場面での使用も今後検討する。
救急搬送状態の共有アプリ導入
- 2020年12月18日
- 医療・福祉