岡山県津山市一宮出身の日本画家・有木冬嶺(1874〜1949)の遺作が27日、墓所である津山市小田中の本源寺(華山義道住職)に遺族から寄贈された。
冬嶺(本名慎三郎)は、津山藩士の文人画家・廣瀬臺山、飯塚竹斎の画風に影響を受け、山岡米華に師事して画業に精励。
遺作は、松とキジを描いた「秋晴」をはじめ、タイサンボクとオオルリ、揚柳観音、山水、寒山拾得などを題材にした日本画、水墨画の軸装13幅のほか、色紙やスケッチ計数十点。6年前に亡くなった孫の悟さんが所持していた作品で、妻・雄子さん(78)=東京都=が夫の7回忌法要に合わせて持参した。
「『祖父が精魂込めて描いた絵』だと大切にしていた主人の意向で納めさせていただいた」と話した。
華山住職は「私の曽祖父が冬嶺さんと親しく、絵を教わったと伝え聞いており、日本画は繊細な画風で素晴らしい。大切に保管し、来年にはお披露目の機会を設けたい」としている。