美作地域発祥の「鶴山漆器」を手がける木地師の小椋芳之さん(77)=鉄砲町=による作品展が、岡山県津山市新魚町のアルネ津山4階・アートギャラリーで開かれ、伝統の技が光る美しい木工芸に来館者が見入っている。4日まで。
鶴山漆器は、木の杢(もく)目を生かした技法「千軒刻研出本漆塗」を用いた拭き漆の器。県重要無形文化財保持者の小椋さんが、国産のトチやケヤキなどをろくろびきし、本漆塗りで仕上げた作品を中心に約150点を出展した。
直径約50センチの広盆や盛器、こね鉢、角盆をはじめ、コーヒーカップや茶わんがずらり。渋い光沢の中に玉杢、縮み杢といった異なる模様が浮かび、どれも味わい深い。ループタイ、ブローチといった新作も並び、会場の一角では小椋さんによるろくろ挽きの実演のほか、ビデオ映像でも一連の手仕事を紹介している。
小椋さんは「普段使いできる物も用意しているので気軽に見に来てほしい。1200年続く木地師の技術にふれてもらえたら」と話している。