来年は辰(たつ)年。師走を控え、岡山県津山市の津山民芸社(白石靖さん経営)では、干支(えと)の郷土がん具「竹の龍」が仕上げの真っ最中だ。
夏から脱脂し、切り込んでおいた真竹のパーツを漆黒に染め、小枝の節を生かした角やひげ、口にくわえる玉は金色に塗っていく。鋭い目、うろこも金に彩った後、頭と胴、尾を金具でつなぐ。背にまたがる童は、奈義町の民話に登場する三穂太郎。
4巡目となる干支シリーズは縁起物として人気が高い。小、中、大の3サイズあるほか、愛らしいオブジェ風の「たつのおとしご」もこしらえている。
「角とひげのバランス、にらみのきいた目には特に気を使うね。昇り竜にあやかって、来年は世の気運もようなってほしいもの」と白石さん(85)。来月半ばにかけて、計約600個を仕上げる。