イタリアを制作拠点に、国内のアトリエを岡山県津山市昭和町に構える彫刻家・画家の武藤順九さん(70)が東日本大震災の慰霊モニュメントとして制作した大理石彫刻が近く、リニューアルした津山文化センターに展示される。津山市田町の中島病院には16日、代表作の縮小モデルが設置された。
文化センターの展示作は、出身地(宮城県仙台市)に近い石巻市に来年開園する国立の震災復興祈念公園に設置される「CIRCLE WIND(風の環)2011-絆-」のファーストイメージモデル。実物の4分の1サイズ(高さ64センチ、幅80センチ、奥行き26センチ)で、震災直後に被災地を訪れた際、がれきの中で芽を出した植物の双葉を目にして着想し、犠牲者の鎮魂、ふるさと復興への思いを込めている。官民一体による「3.11プロジェクト」の一環として12年、国立京都国際会館で発表された注目作だ。
ポート・アート&デザイン津山で18日から開催予定だった津山初展示会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため来年に順延したが先月、谷口市長との対談で話がまとまり、ガラス張りの南エントランスに今月下旬から約1年間展示されることになった。
一方、中島病院ロビーに設置されたのは1997年、イタリアピエトラサンタでヴェルシリア賞国際グランプリを受賞し、世界平和を象徴するモニュメントとしてローマ法王公邸に永久設置された石彫「CIRCLE WIND-PAX2000-」の4分の1モデル(高さ50センチ、幅33センチ、奥行き17センチ)。表裏が交錯する「メビウスの輪」をもとに輪廻転生(りんねてんしょう)する生命を表現している。その芸術にほれ込み、親交のある中島壮太同病院理事長(79)が購入。
昨年秋、京都から妻の実家=津山市=に居を移した武藤さんは、「終の棲家(ついのすみか)に選んだ津山の文化拠点施設、歴史ある病院に展示することで、多くの市民らにそれぞれの作品に込めたメッセージを感じてもらえたら幸い」と話している。
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中島病院ロビーに設置された代表作の縮小モデルと武藤さん
武藤順九さんによる東日本大震災の慰霊モニュメント、津山文化センターで展示予定/岡山・津山市