岡山県津山市西新町の津山洋学資料館で、江戸時代以降に行われた東洋、西洋医学の薬の研究の歴史を紹介する夏季企画展「あれも薬これも薬」が開かれている。実際に使われていた道具や書物が並び、国内の薬学黎明期の様相をうかがい知れる。11月7日まで。
学芸員によると、日本は江戸時代、鎖国政策によって中国人とオランダ人のみが交易を許され、医師や学者は輸入した薬の研究に尽くしたという。
企画展では約40点を展示。1800種類以上の動植物や鉱物を漢方薬として紹介した中国の『本草綱目』、西洋の約400種類の薬物について調剤法や効能を記した『遠西医方名物考』のほか、想像上の生物だったユニコーンや人魚などの薬効について書かれた『六物新志』などの書物がある。生薬をすりつぶす薬研、重箱や引き出しのある薬箱、数十種類の漢方を納める薬だんすなど、医者が使用した道具もある。
津山ゆかりの品では、津山藩医・宇田川榕庵らが藩主の松平斉民の娘に処方した薬などの記録、美咲町出身の実業家・岸田吟香が開発した目薬「精錡水の瓶や箱、津山市内の薬屋で使われていた精錡水や胃薬の看板が並んでいる。
近都兼司学芸員は「当時の人はどういう物を薬として使っていたのか、ここに注目すると興味深い。いつの時代も最先端の医療が求められていたことが史料から伝わってくる」と話す。
開館時間は午前9時〜午後5時(入館は4時半まで)。休館日は毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)と祝日の翌日、年末年始。入館料は一般300円、65歳以上・高校・大学生200円、中学生以下無料。
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薬の研究の歴史を紹介している夏季企画展
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岸田吟香が開発した目薬「精錡水」の瓶と箱
津山洋学資料館 「あれも薬これも薬」展 (岡山県津山市)