県内一の生産量を誇る津山産パン用小麦「せときらら」の消費拡大を図ろうと、岡山県津山市は、学校給食パンを同小麦に切り替えて提供できるか、方法や製粉の仕様などの研究に取り組んでいる。29日には冷凍保存したパンの試食会を実施し、関係者にアンケート調査を行った。
同市では地産地消を進めようと、昨年度から小中学校給食の麺の原料を津山産小麦に変更。次の展開として本年度からパンの可能性について研究をスタートさせた。
国産小麦は外国産に比べてタンパク質の含有量が低く、製パン性が高くないことから、大手パン工場のオートメーション製造では大量のパンの安定供給は難しいという。そのため、市内の小規模なパン店で対応できる体制や条件とともに、JAの施設でパン加工に適した製粉方法を検討。パンの量を確保する方法として冷凍保存も想定している。
戸島学校食育センター=戸島=で開いた試食会(津山産小麦生産普及連絡協議会主催)には、市や美作広域農業普及指導センター、給食調理受託者、JAなど関係者約30人が参加。市内のパン店2店が製造し、冷凍保存した揚げパンとコッペパンが用意され、見た目や味、食感、香りなど冷凍による影響をアンケートで調べた。
参加者からは「冷凍感はあまり感じられなかった」といった声が聞かれた。アンケート結果をまとめ、さらに課題などを検討する。
市農林部は「津山産小麦のブランド化と消費拡大に向けた新たな取り組みとして給食に提供して子どもたちに味わってもらうとともに、地元パン店で製造してもらうことで地域経済の循環にもつなげたい」としている。
津山地域の昨年度のパン用小麦の作付面積は116ヘクタール、出荷量は383トンで、ともに県内最大となっている。