温泉地を舞台に多彩な現代美術を発信する「美作三湯芸術温度~温泉にアートがあるということ~」(岡山県主催)が29日から、美作三湯(湯原・奥津・湯郷)の27施設を会場に始まった。県内外から招かれた31人の気鋭作家が、絵画や彫刻、写真、染色など幅広いジャンルの作品を出展。温泉文化とアートが響き合う「新感覚」が大勢の来場者を魅了している。12月7日まで。
2016年から3年ごとに開かれ、今回が4回目となる回遊型アートイベント。キュレーターは奈義町現代美術館館長の岸本和明氏が務める。
奥津温泉=鏡野町=では老舗旅館など5施設で9人のアーティストが出品。和の趣漂う空間に、彫刻や絵画が溶け込み、温泉地ならではの情緒のなかに新鮮な表現世界が誕生した。日帰り温泉施設「花美人の里」には、薄い虹色で4メートル四方の「祈りの鳥」がお目見えし、癒しの空間が広がっている。
湯原温泉=真庭市=ではオオサンショウウオを題材にした絵画作品や変幻自在なインスタレーションが登場し、湯郷温泉=美作市=では立体造形や現代的な絵画が宿泊施設を彩る。三つの温泉地を巡れば、それぞれ異なる芸術の表情にもふれられる。
ハンドブックは各会場で配布。アンケートに答えると、抽選で特産品などが当たる。キュレーターの岸本氏は「森の芸術祭の刺激を受け、今回は過去最大級の規模になった。アーティストと温泉宿との出会いを楽しみながら、小旅行気分で巡ってほしい。アートを通じて温泉宿の魅力を再発見し、ここでしか味わえない感覚を体験してほしい」と語っている。
今回は、JR西日本のアプリ「WESTER」を活用したデジタルスタンプラリーも実施。「森の芸術祭 晴れの国・岡山」と連携し、両芸術祭の会場を巡ってスタンプを集めると、抽選で特産品や温泉利用券が当たる。
