「心と体に優しいおやつ」を 米粉で焼き菓子作る夫妻 大学とのコラボや無農薬栽培も/岡山・津山市

食関連 看護学会の出店ブースの様子
看護学会の出店ブースの様子
         

 昨春、兵庫県三田市から岡山県津山市に移住し、 津山産の米粉で焼き菓子を生産・販売する 「あっさ工房」 を開業した加藤龍海さん (44)、 里咲さん (42) 夫妻は、 大学とのコラボ商品の開発や素材の無農薬栽培を手掛けるなど、「心と体に優しいおやつ」をテーマに精力的な取り組みを行っている。

 里咲さんは、5人の子どもを育てながら管理栄養士として福祉施設の衛生指導などに携わる中、体調不良に直面。そのころ趣味のお菓子作りに使っていた小麦粉を米粉に置き換えたところ、自身や家族のアレルギー症状が改善したという。「同じように食に悩んでいる人にもお菓子を届けたい」と一念発起し、同県美作市にいる友人の縁で移住を決断。公務員だった龍海さんと三男二女と昨年3月に引っ越してきた。

 食感や風味にこだわり、約2年の試行錯誤を重ねたおやつは、完全受注生産で、「ハーブ&チーズスコーン」や「ガレットブルトンヌ」、「ココア&アーモンドクッキー」など、どれも優しい甘さと程良い塩加減が特徴だ。育児や家事との両立を考え、 工房での直売はせず、注文は専用フォームでのみ受け付けている。購買層は健康に気を遣う女性が多いといい、季節や要望に応じて品ぞろえを変えている。

 昨年9月には県立大学と共同開発し、甘味料に未精製のステビアを使ったクッキーを日本糖尿病教育・看護学会学術集会に出店した。ステビアはハーブの一種で、砂糖の200~300倍の甘みがある。独特の苦味や風味を伴い、人工的に精製されたものが一般的だが、里咲さんの クッキーは乾燥させた葉を粉末状にして生地に練り込んでおり、ほんのりとした甘さと苦みが絶妙な味わいを生み出している。血糖値の抑制などにも効果がある。

 さらに龍海さんは同工房の代表を務めるかたわら、自宅裏約2000平方メートルの農地で米や野菜の自家栽培に着手。菓子で使うローズマリーのほか、健康食材として注目されているキクイモやローゼルなどを育てている。

 里咲さんは畑で採れたカボチャやハーブなどを使って日々新しい焼き菓子を試作、研究している。「移住してから家族に向き合う時間も増えた。今後は販路を拡大させながら、地域のイベントへの出店やワークショップも開催し、甘さ控えめで優しいあんばいのおやつを多くの人に味わってほしい」と夢を膨らませる。

 注文はホームページ (https://raijnfam.base.shop/) で受け付けている。

 問い合わせは、 同工房 (TEL0868-20-1368)。

自宅工房でクッキーを作る様子
自宅工房でクッキーを作る様子
自宅裏約2000平方メートルの農地での様子
自宅裏約2000平方メートルの農地での様子


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