岡山市出身の気鋭の画家・片山高志さん(45)の個展「何かの何かだと思ったら、何の何でもなかった」が5日、岡山県勝田郡奈義町の町現代美術館で開かれ、独特な手法と表現で描き出す独創的な秀作が来館者たちの目を引き付けている。9月15日まで。
片山さんは独学で研さんを積み、1999年の初個展でデビュー。それ以降、さまざまな技法を駆使してテーマ性に合った表現を追求していく作風で、超現実的な写実画から抽象画まで多彩な作品を発表。独特な世界観を築いた意欲作は各種メディアに取り上げられ、注目を浴びている。現在は福岡市と東京都2拠点で活躍中。
今回は新作「あたらしいこども」をはじめ、近作計77点を出展。新作は混沌とした昨今の社会情勢で人々が生きづらさや閉塞感を抱える中、気にせずに物事に没頭できるエネルギーを持つ元気な子どもをアクリルガッシュで描写。流動的な絵の具の動きによってさまざまな色が混ざりあって形作る子どもたちの姿は、それぞれ違った個性とポジティブな雰囲気を醸し出している。
このほか、複数の要素の関係や範囲を視覚的に表す「ベン図」から着想を得て、2つの靴、果物がくっついた姿を緻密に描いたモノクロ作品「venn diagram」などが並ぶ。
岡山市から来た小学5年生の景山藍衣さん(10)は「言葉では表せないとても不思議な感じがするけど、そこがおもしろい」。母親の実麻さん(39)は「見る人によってとらえ方が変化して多種多様な楽しみ方ができる。とても魅力のある作品だと思う」と話していた。
8月30日午後2時からは作家本人によるアーティスト・トークを開催する。
