療育に理解 自閉症アーティスト・石村嘉成さん親子の講演 ライブドローイングも/岡山・津山市 

行政・公共 和徳さんの話に耳を傾ける参加者=岡山県津山市で
和徳さんの話に耳を傾ける参加者=岡山県津山市で
         

 大胆な色使いで迫力のある動物の絵を描き、国内外で高い評価を得ている自閉症のアーティスト・石村嘉成さん(30)と父親の和徳さん(64)の講演会(県教職員組合、教育運動推進センターなど主催)が15日、大田のリージョンセンターで開かれた。教職員や小中学生の保護者ら約200人が嘉成さんの生い立ちと両親が取り組んできた「療育」の話に耳を傾け、子育てや教育の在り方について理解を深めた。

 嘉成さんは2歳の時に自閉症による発達障害と診断され、その後、社会への適応力と自立を目的とした指導を行う「療育」を受けながら成長し、高校に入学。高校3年生の時の授業で制作した版画が高く評価されたことをきっかけに創作活動を始め、2013年に新エコールドパリ浮世・絵展ドローイング部門で最年少で優秀賞を獲得。その後も数々の賞を受賞したほか、地元・愛媛県などで個展を開くなど積極的に活動している。

 講演では和徳さんが妻の故有希子さんと行ってきた子育てについて説明。トモニ療育センターの河島淳子所長から自閉症について学び、さらに「親が子どもの現況を詳細に把握して向き合い方を考え、共感しながら“知識ある愛”を持って時に厳しく育てる必要がある」というアドバイスを受けたことで意識が変わり、「認知力、理解力をつけて心を育て、社会で受け入れられる、人に愛される人間になってほしい」という思いで鬼手仏心の育て方に取り組み、根気強く息子を支えてきた過去を語った。

妻とともに取り組んできた療育ついて話す和徳さん(右)
妻とともに取り組んできた療育ついて話す和徳さん(右)

 和徳さんは講演の中で、「親が障害に対して無知であると何の方針も立てられず、子どもは成長する機会を失う」と指摘。「継続的で一貫性があり、適切な教育が徹底して行われることで療育の効果が生まれる。実行するには親の覚悟と冷静な判断に基づいた育て方も必要」と強調。「子どもの要求を受け入れるのではなく、さまざまな経験を積ませて本人ができることを増やしていってほしい。時には厳しくとも子どもの将来を見据えた指導を」と呼びかけていた。

 最後は嘉成さんによる版画を使ったライブドローイングが行われ、参加者は熱心に見入っていた。市内小学校教諭・山田夏花さん(27)は「多様な事情を抱えた児童に対する接し方、教育に対する自身の考え方や価値観に対して新たな発見ができたように感じる」と話していた。

嘉成さんによるライブドローイング
嘉成さんによるライブドローイング


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