美術家・版画家の小野耕石さん(46)=矢掛町=の個展「次点―点点と遊ぶ方法あるいは解釈―」が、川崎のポート・アート&デザイン津山で開かれ、版画表現に新たな領域を広げる独創的な作品が来館者を魅了している。27日まで。
小野さんはシルクスクリーンと呼ばれる版画技法を使って、色を変えながら何十回も重ね刷りし、高さ数ミリの〝色の層〟を画面上に無数に積み上げることで作品を制作している。
平面や立体作品34点を展示。多彩な色の表現で抽象画のように見える作品は、顔を近づけて見ると、びっしりと並ぶインクの突起物の集合体で構成されており、小野さんが追求し続けた独自の世界観を強く印象づける。
光が差し込む赤レンガの展示空間に置かれた大きな本のような物体は、シルクスクリーンを7000版以上重ね、インクだけでできた塊。小野さんの「刷った」という行為を集積して形にしており、自立していることが特徴だ。インクの柱を動物の頭骨に移植した2点の作品も個性的で、存在感を放つ。
小野さんは「長く続けてきた点を刷るという作品と、新たなアイデアで枝分かれした作品もある。どういうふうに考え、作品を作ってきたのか、想像を巡らせながら見てほしい」と話している。
20日には小野さんによるアーティストトークを開く。午後2時~、参加無料、予約不要、先着20人。
