津山市は1日、同市出身の新興俳句の旗手・西東三鬼をたたえて設けた第30回「西東三鬼賞」に、兵庫県姫路市の会社役員・中村正行さん(61)の句「回天や海鼠を切れば水溢る」を選んだと発表した。
全国の602人(18~95歳)から4005句が寄せられ、現代俳句協会副会長の寺井谷子さんら3人が選考。大賞のほか秀逸10句、入選30句を決めた。美作地域からの入賞はなかった。
大賞作は、ロシアのウクライナ侵攻など依然として世界各地で続く戦争を背景に、かつて大日本帝国海軍が開発して実際に使われた人間魚雷により戦死した人間のたましいを現代にすくい上げ、「類稀な戦争俳句を生みだした」と評価された。
27歳のときから俳句を始め、自ら代表を務める俳句勉強会で研さんを積み、去年に続き2回目の挑戦で大賞を受賞した中村さん。「呉で実際に見て、死を前提とした兵器に怒りを感じた。反戦の気持ちを込めた」と作品への思いを語る。選考結果を受け「俳句勉強会の代表をしていて、現代俳句大会賞受賞者が3名在籍しており、私は無冠の帝王として肩身の狭い思いをしていたが、面目躍如を果たすことができた」と喜びを述べた。
同賞委員会は入賞作の小冊子を作製。希望者には200円で販売している。
表彰式と曲水の宴は新型コロナウイルスの影響を考慮して中止する。
問い合わせは、市文化課(☎0868-32-2121)。
第30回「西東三鬼賞」決定!兵庫県姫路市の会社役員・中村正行さん(61)の句「回天や海鼠を切れば水溢る」/ 岡山県津山市