出雲街道に宿泊施設完成 「城下小宿 糀や」 新たなスポットとして期待/岡山・津山市

行政・公共 城東地区に17日開業する「城下小宿 糀や」の外観
城東地区に17日開業する「城下小宿 糀や」の外観
         

 岡山県津山市が、「旧苅田家付属町家群」を活用して整備を進めていた宿泊施設「城下小宿 糀や」が17日開業する。江戸時代の風情を伝える城東地区の新スポットとして、滞在型観光によるにぎわい創出や地域活性化などが期待される。津山市山下のザ・シロヤマテラス津山別邸を手がける「HNA津山」が運営する。


 同町家群は、出雲街道が東西に通る重要伝統的建造物群保存地区にあり、国重文・旧苅田家住宅の西側に隣接。江戸後期に建てられた木造2階瓦ぶきの4棟(延べ約518平方メートル)で構成される。

 定員6〜11人の宿泊棟3棟と宿泊者専用のラウンジ棟1棟に改修。歴史を感じさせる町家の特徴を生かしながら、宿泊棟ごとに庭やテラス、ヒノキの浴槽、トイレ、キッチン、リビングなどを整備。梁(はり)など当時の趣を残したくつろぎの室内空間から、情緒漂う庭の眺めなどを堪能できる。2018年12月に着工、6月30日に完成した。総事業費は1億9337万円。

 市が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間事業者に長期間委ねる「コンセッション方式」を採用。NHA津山が2040年までの20年間、運営を担う。市によると、この規模でのコンセッション事業は全国的にも初といい、「民間活力のメリットを生かし、自由度の高い運営とニーズを反映した質の高いサービス提供を」と期待する。

 住民らもさらなる地域の魅力向上や活性化を望む。地元の連合町内会とまちづくり団体で役員を務める松井保さん(63)は「住民としても城東地区の一層のPRに努め、訪れる観光客を歓迎し、おもてなしをしたい。また、地区に住む人の増加にもつながればうれしい」と話した。

 谷口圭三市長は「津山と観光客との心を結び、城東の歴史と文化を発信する新たなスポットとして長く愛される存在となることを願う」とコメントした。


町家の特徴を生かした宿泊室内からは庭を眺められる


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