美作の中世山城連絡協議会の本年度総会が15日、岡山県津山市大谷の中央公民館で開かれ、事業計画を決めるとともに、講演会で地域の歴史への考察を深めた。
10団体で構成する会員ら約30人が参加。西尾一朗会長が「来年には結成20周年を迎えるが、研究、調査、情報発信などを進める中、三つの専門部会を充実させ、山城の価値を見出して保存・活用を進めるために協力していこう」とあいさつ。
議事に入り、役員改選では西尾会長を再任。本年度事業では、山城登山会、山城講演会、遺構見学会、第31回全国山城サミット(11月、島根県)への参加などの活動を承認した。
この後、同協議会員の長尾順太郎さん(上田邑)が「神楽尾山は苫田軍団を祀った山か?」と題して講演。奈良時代に全国約60の令制国に設置された律令軍団のうち、所在が明らかでない美作国「苫田軍団」について、神楽尾山に軍神をまつる天剣神社があった可能性が高く、長岡京跡で発見された荷札木簡に記された「美作国苫田郡田屯口」の文字から検証した「たむら軍団説」について持論を展開した。
総括して「田邑(たのむら)の地名が軍団を意味する屯(たむら)に由来し、各地に残るたむら同様に国府守備のためその近傍にあることから、苫田軍団の所在郷は田邑だったと推察できる」と強調。参加者は熱心に耳を傾けていた。
西尾会長を除く主な役員は次の通り。(敬称略、任期2年)
▽副会長=児玉収司(矢筈)豆原義重(篠向城)▽事務局長=長瀧薫(医王山)▽事務局会計=水島康之(神楽尾)▽企画部長=鳥取文二(神楽尾)▽研究部長=赤坂健太郎(津山おくにじまん研究会)▽監事=岡隆彦(岩屋)玉木陽一(鬼山)