大谷の漆工芸作家・武本正博さん(70)の「漆工芸展〜無限〜」が5日、美咲町百々の北和気郷土資料館で始まった。ケヤキ、トチ、カエデを用い、木そのものの美しさを生かした器や盆、盛鉢などに来館者が見入っている。16日まで。
武本さんは44歳で脳出血を発症。右半身がまひする障害が残り、リハビリの一環で工芸を始めた。北部高等技術専門校、美咲町ふれあい木工所で基礎を学び、65歳で第47回「津山工芸展」の新人賞に輝く。その後、真庭市の工芸作家・國本敏雄さんに師事し、津山工芸展で受賞するほか、岡山県展、日本伝統工芸展中国展に入選するといった経歴を残す。現在、日本工芸会研究生として日々研さんを積んでいる。
同展では、25年の間で制作した秀作の中の25点を展示。「拭き漆」と呼ばれる技法で作られた日用品が並ぶ。漆の色、木目、磨かれてできた光沢が際立つ作品を見た芦田正之さん(76)=市場=は「シンプルなデザインだが、あまりのすばらしさに圧倒された。作家の並々ならぬ努力を感じる」と話した。
武本さんは「障害がある人でも無限の可能性を秘めている。夢や希望を持ち、頑張ってほしい。作品を見て、勇気を持ってもらえたらうれしい」と語った。期間中の開館日は在廊している。
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木目と光沢が美しい作品に見入る来館者たち
美咲町 北和気郷土資料館 武本さんの「漆工芸展〜無限〜」作品展示