岡山県内最大級のキュウリの生産地・久米南町で出る規格外のキュウリを使った料理の試食会が21日、同町山手のリゾートセンター治部邸で開かれた。同町と中国学園大学(岡山市)、ANAクラウンプラザホテル岡山(同)による“食を通じて地域活性化”を目指す産官学連携の取組の一環。
同町では51戸の農家で年間約600トンが生産される中、傷や形の悪さで約1割が出荷できずに廃棄されるなどしている。昨年包括連携協定を町と結んだ中国学園大学で、地域の課題解決を研究している佐々木公之国際教養学部教授(50)のゼミはこの問題に着目し、規格外品を有効活用して新たな魅力の創出や商品開発などにつなげようと、同ホテル岡山の中野大輔総料理長(47)にレシピの開発を依頼した。
この日、生産者ら関係者16人が参加。テーブルにはタマネギと酢を加えた「きゅうりの冷製スープ」をはじめ、パイナップルやハチミツの甘みを効かせた「きゅうりジュース」など計5品が並び、爽やかな旬の味覚を堪能した参加者たちは「スープは酸味が加わり、さっぱりしている」「果物を加えることでジュースが飲みやすくなっている」と感想を述べていた。
JA晴れの国岡山久米南キュウリ部会・志部健一部会長(75)は「とてもおいしくて、斬新なアイデアに驚いた。廃棄問題の解決だけでなく、流通も盛んになればと願う」と話した。
今後は中国学園大学の学生たちが県内外に向けたPR動画を作り、SNSやインターネットなどで配信する。企画に参加した中国人留学生・顔麗娟さん(26)は「母国語に翻訳して故郷の安徽省の人たちにも伝えていきたい」と語っている。