岡山県真庭郡新庄村の特産品であるもち米ヒメノモチの加工販売をしているメルヘンプラザは、ヒメノモチのフリーズドライ非常食を完成させた。開発過程でおいしさの秘密が明らかに。「どんな時でもおいしくいただける、もちもちの香り高いパワーフードができました」と本田陽哉代表(70)。防災の日の6月2日、全村民に配布する。
当初はうるち米で開発を始めたが、ほとんど前例がないというもち米に切り替えた。美作大学の協力で成分分析を行ったところ、「もちもち感」に大きく影響する含水率は他産地のものに比べかなり高い数値を示した。
更に日本原子力研究開発機構が開発した高感度ガス質量分析装置などを用いて香り成分を測定したところ、他には見られないフルーツ用の甘い香り成分が検出された。これらの結果から、新庄村産ヒメノモチの美味しさの特徴は「もちもち感やフルーティーな甘い香り」であることが見出された。
また、新米と古米を比較したところ、収穫から1年経過しても素材の含水率の高さは変わらず、フルーツ用の香り成分も失われていなかった。ぬか臭も検出されなかったことから、保存食にも適していると判断した。
商品はフリーズドライ工房まにわで製造。1人前の内容量は80グラムで、調理方法は袋を開封して湯または水200ccを注ぎ入れ、袋上部のチャックを閉めて待つだけ。熱湯で20分、水の場合は60分が出来上がりの目安。そのままでも食べられる。水を多目に入れるとおかゆも楽しめる。賞味期限は6年間で、販売想定価格は600円程度。
今後は他自治体での採用や、店舗販売を目指す。本田代表は「非常食だからこそ味にこだわりたい。もちごめの非常食は珍しいが、高カロリーで栄養価も高く、そのうえ味も良い。種類や食べ方も模索したい」と話している。