2021年度当初予算

行政・公共
         

 岡山県津山市は22日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計は457億300万円で、前年度より0・5%(2億4000万円)減。厳しい財政状況の中、「第5次総合計画中期実施計画主要事業」「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略事業」の推進、新型コロナウイルスの影響に対応するため、重点的な予算配分を行った。1日開会の3月定例市議会に提案する。
 新型コロナの影響などによる市税の減収が見込まれる中、第三セクター等改革推進債の発行に伴う元利償還金の長期負担に加え、高齢化の進行による社会保障関係経費や大規模な建設事業実施による一部事務組合負担金の高止まりから、依然として厳しい状況が見込まれる。昨年度策定した「財政構造改革に向けた取組方針」に基づき、歳入歳出両面からの事務事業の見直し、公民連携、民間活力の導入検討などを実施した上で、必要な財源の確保のため、財政調整基金などを活用した。
 新型コロナ対策は市独自事業を含め22事業に4億4214万円を計上した。
 谷口圭三市長は会見で「財政構造改革については感染症の影響による経済情勢からも厳しさを増すこととなったが、持続可能な行財政運営、地域社会の確立を目指すためには、この取り組みを着実に推し進めていかなければならない」とした上で、「既存事業の目的、実績や効果を効率性、有効性などの観点から徹底的に検証し、事業の重点化、統廃合、民間活力導入の検討などを実施するとともに、財政構造改革の取り組み強化期間の2年目であることから、一般財源ベースでゼロシーリングとして編成した」と述べた。
 【歳入】市税は市民税、固定資産税や都市計画税などの減見込みから、4・2%(5億4000万円)減の124億4000万円。地方交付税は地方財政対策の見通しなどから、6・5%(7億4000万円)増の121億円。市債は臨時財政対策債が増となる一方で、建設事業債の減などから、0・9%(3100万円)減の32億9000万円。国庫支出金は6%(4億900万円)増の72億3800万円。財政調整基金繰入金は、4億7200万円減の14億1200万円と取り崩しを少なくした。
 【歳出】農林水産事業費は、つやま和牛ブランド化事業、森林経営管理事業や木材利用・普及啓発事業の増などから、15%(2億5600万円)増の19億6900万円。商工費は、春はつやま誘客促進事業や新型コロナウイルス対策事業継続支援事業を計上したことなどから、11・6%(1億8000万円)増の17億2200万円。土木費は、道路新設改良事業の増や重要伝統的建造物群保存事業の増などから、4・2%(1億7700万円)増の43億6500万円。教育費は、幼稚園再構築施設整備事業、グラスハウス管理運営費の減などから、10・8%(4億6300万円)減の38億2800万円となっている。
 一般会計当初予算案の主な事業は次の通り。
 ▽4月1日に開設する県北初の配偶者暴力相談支援センターの運営646万円▽グラスハウスの運営を公民連携事業による収益事業に転換する利活用事業3150万円▽行政デジタル化を推進するマイナンバーカードの取得促進1億393万円▽自立相談支援事業と連携した子どもの学習・生活支援事業845万円▽民間保育園などが実施する延長保育、障害児保育、一時預かり保育、病児保育、アレルギー食対応などの支援1億7030万円▽通院入院ともに中学校卒業までの子どもの医療費自己負担分を完全無料4億1685万円▽将来的に医療資源不足が危惧される不採算地区の医療提供体制確保に取り組む公的病院などの運営支援1000万円▽不妊、不育治療にかかる費用の一部を助成1100万円▽インフルエンザの予防接種支援(現行1歳〜中学3年生)を、生後6カ月からに拡大1000万円▽移住希望者に対するワンストップ相談窓口での情報発信や相談、移住・定住に対する各種助成3847万円▽中規模な担い手が国・県事業に取り組めるよう規模拡大するための機械導入などの支援8029万円▽つやま和牛の生産振興と流通量の増加によるブランド確立を図るため、導入補助を充実8417万円▽住宅の新築、リフォームの際、積極的な地域材利用を促進するための補助金5500万円▽保育間伐、森林作業道補修、皆伐再造林などの助成2420万円▽周辺町と協調した森林資源解析調査6330万円▽今津屋橋北詰からザ・シロヤマテラス津山別邸までの通り沿いの景観形成のため、自己所有物件の改修、除却などの費用助成600万円▽中心商店街や城東・城西地区の空き店舗などへ個店の立地を促進するための補助1200万円▽5G環境について津山高専内に無線基地局を設置し、共同開発の環境を整備330万円▽春の観光イベント期間中に津山―岡山空港間の貸し切りバス運行の実証実験など観光イベント推進1138万円▽JRや自治体がタイアップするデスティネーションキャンペーン事業に参画し、情報発信、市内回遊性向上を目的とした新たな観光資源の発掘など900万円▽教育旅行の助成、バスツアーの助成制度の充実などDMO観光まちづくり推進2450万円▽津山遺産(伝統工芸、食、歴史的建造物など)を中心に、イベントや観光地などを一体的にPRする「春はつやま」誘客促進2500万円▽舗装や排水路の修繕など市道の維持管理の拡充1億5000万円▽伝統的建造物の修理や新しい建造物の修景を推進に、新たに城西地区を加えて取り組む重要伝統的建造物群保存9675万円▽エレベーターの設置などJRが行う津山駅舎バリアフリー化整備の支援1000万円▽学校運営をサポートするアドバイザーの増員など確かな学力向上対策5738万円▽個別学習向けのドリル教材「タブレットドリル」を導入し、児童・生徒用タブレットを有効活用した学力向上438万円▽津山東中学校で取り組む学校運営協議会(コミュニティ・スクール)推進16万円
 【コロナ対策】▽ワクチン接種協力医療機関に対する支援金の支給7510万円▽感染者が発生した市内事業所、福祉施設などで行政検査の対象外となった従業者に対して実施したPCR検査などの費用助成2000万円▽就職先が決まらない新規学卒者、働き場所を失ったパート・アルバイトらの雇用創出・確保5000万円▽売り上げが30%以上減少した個人と法人事業者への支援金支給2億400万円


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