「曜変天目」を追求する孤高の作陶家・鈴木禎三さん(48)=岡山県津山市在住=と、120年以上続く老舗の畳店・仲井畳工業(津山市堀坂)がコラボして、鈴木さんの新作の陶額のために、畳表による額縁を制作。「たぶん業界初ですが、これまでなかったのが不思議なくらい理想の仕上がり」と鈴木さん。
いぐさの香りが漂う額は縦43センチ、横35センチ。畳縁(べり)を四方向に付け、畳の表情も楽しめるように余白もしっかりとった。縁は作品の個性を際立たせるようシンプルで縫い目を隠すなどした美しい仕上がり。
鈴木さんと仲井畳工業は鈴木さんが2014年の初個展のために天目茶碗用の小畳を依頼して以来のつきあい。小畳はシンプルな二方縁。今回は鈴木さんの開窯20周年を記念し、千利休生誕500年を祝い制作した陶額「リキュウ」のために依頼した。「西洋風の額縁はどうしても自分の作品に合わなかった。純和風の額がほしかった」と鈴木さん。
四方縁の額様な立体的な仕上げと固定にかなりの技術と工夫を要したと仲井勝徳社長(55)は話す。「鈴木さんの発想は面白く、大いに刺激を受けた。これからも業界の古い固定観念にとらわれず、新しいことに挑戦したい」。
仲井祐勝専務(30)は「初めてのことが多く、試行錯誤を繰り返した。要望にこたえられて良かった。畳の可能性を感じる仕事になった。今後もいろんな作家さんや職人さんとコラボしたい」と語る。
「早く画廊で見てみたい。新しいもの好きが多い業界。津山発の額縁としてしっかりアピールしていきたい」と鈴木さん。
畳表の額縁は要望があれば商品化も検討するという。
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鈴木さんの新作を飾った畳表の額縁を手にする鈴木さん(左)と仲井専務
岡山県津山市 鈴木禎三さん新作品 仲井畳工業とコラボ制作