天皇陛下の第74回「全国植樹祭」でのご挨拶(全文)「初めに、本年1月に発生した能登半島地震により亡くなられた方々に改めて深い哀悼の意を表しますとともに、御遺族と被災された方々にお見舞いをお伝えいたします。今後、被災地の復旧と復興が順調に進んでいくことを心から願っております。
第74回全国植樹祭がここ岡山県で開催されるに当たり、全国から参加された皆さんとともに出席できることをうれしく思います。
岡山県においては、昭和42年に「拡大造林と環境緑化」をテーマに、岡山市にある金山山頂で第18回全国植樹祭が開催されました。当時の会場は、現在、昭和天皇と香淳皇后がお手植えになったアカマツを始め、多くの参加者によって植えられた木々が立派に育ち、山々を緑に染める風景を岡山市街地から望むことができると聞いております。
岡山県では、緑豊かな中国山地に源を発する吉井川、旭川、高梁川の3つの河川が、良質で豊かな水をたたえながら、吉備高原や岡山平野を経て瀬戸内海に注いでおり、こうした環境の中で多様な自然が育まれています。現在では「木を伐って・使って・植えて・育てる」という林業のサイクルを循環させる取組が推進されるとともに、花粉の少ない少花粉スギやヒノキへの植替えが進められるなど、森林が守り育てられていることを喜ばしく思います。
また、森林から生産される木材は、昔から住宅などの建築物を始め、家具や食器など様々なものに使われており、私たちの暮らしに欠かせないものとなっています。こうした恵みがもたらす森林を、健全な姿で未来の世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます。
本日表彰を受けられる方々を始め、それぞれの地域において日頃から森林や緑を育てる活動に尽力されている全国の皆さんに敬意を表し、そうした活動が、今後とも多くの人々によって支えられながら、更に発展していくことを期待いたします。
終わりに、循環型の木材の利用や健全な森林づくりの輪が、ここ岡山の地から全国へ広がり、そして将来の世代へとつながっていくことを願い、私の挨拶といたします。」
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