今月の 「ザ・作州人」 は可憐な美女に登場していただいた。 日本を代表する 「OSK日本歌劇団」 の娘役、 紫咲心那さんがその人。 ブギウギ効果で劇団の人気が高まる中、 来年2月には待望の倉敷公演が決定し、 気持ちも新たに。 しかし、 郷土をこよなく愛する作州美人は、 さらなる夢を追い求めている。 入団10年目。 その素顔に迫った。
薄紫のワンピースがよく似合う。 上品で清楚。 どこかあどけなさを残しながら、 その場を明るくする華やかさもある。 さすがはOSK日本歌劇団の娘役。 立ち振る舞いが実に美しい。
「歌も踊りも大好きです。 特に踊っているときは生きているって実感します」
瞳を輝かせる紫咲さん。 とはいえ、 幼い頃は引っ込み思案だったという。 転機となったのは母・亜希子さんに勧められ、 地元のスポーツクラブで新体操を始めたこと。 体を動かす楽しさに目覚めた彼女はバレエ教室や地域の 「やまなみ合唱団」 にも通い、 表現する喜びを知っていく。
またピアノを習っていた時期もあったそうで、 その時のピアノの先生が実は私と同級生の中嶋裕子さんという、 うれしいつながりもあった。
奈義中では新体操部に所属し、 熱心に打ち込んだ。 中3の時に初めて宝塚歌劇団月組の公演を観て感激し、 卒業を前に 「何も分からないまま」 宝塚音楽学校を受験した。 結果は準備不足もあって不合格だったものの、 ハートに火はついたまま。 迷うことなく親元を離れ、 山陽女子高 (現・山陽学園) のMusicコース 「ミュージカル専攻」 へ進んだ。
ここでは元タカラヅカの瀬川佳英さんや有未れおさんから本格的な指導を受け、 持ち前の演技力や豊かな表現力を身に付けていく。
「あなたには歌劇の世界で活躍してほしい」。 そんな恩師の期待を胸に15年にOSK日本歌劇団の研修生として大阪へ。 「私は不器用だったので、 先生の振り付けがすぐに頭に入ってこなくて苦労した」 と振り返ったが、 芯の強さで厳しい2年の日々を乗り越え、 17年に念願のデビューを果たす。
記念すべき初舞台は、 大阪・天王寺の近鉄アート館。 作品は 「Precious Stones」 だった。 共に汗と涙を流した7人の同期生と一列に並んで口上を述べ、 鍛え上げたラインダンスを披露。 劇団の象徴である 「桜咲く国」 を歌い上げたときの劇場の熱気と感動は、 今も胸に深く刻まれている。
そんな紫咲さんが所属するOSK日本歌劇団は100年以上の長い歴史を持ち、 「歌の宝塚、 ダンスのOSK」 と称される。 最近ではNHK連続テレビ小説 「ブギウギ」 のモデルになったことで一躍全国区に。 紫咲さんも 「梅丸少女歌劇団 (USK)」 の山咲夢子役として翼和希さん演じる男役スターの同期生という設定の中、 劇中でも見事なラインダンスを披露し、 作品に花を添えている。
「よ~く凝らして見ると、 私も映ってます」
お茶目な一面をのぞかせた心那さん。 自身の特徴を聞くと 「新体操で培った体の柔らかさを生かし、 舞台の上で伸び伸びと踊ること」。 とりわけ、 OSKの代名詞でもあるラインダンスへの思いは強い。
「客席から湧き上がる拍手が他の場面とは全然違うんです。 責任を持って一人一人がしっかり立って躍ることで劇団員同士の強い絆が生まれるのもラインダンスの魅力です」
今年で入団10年目を迎えた。 今や娘役のスターの1人として劇団に欠かせない存在となっているが、 早くから親元を離れたせいか、 こちらがそこまで、 と思うほど地元愛が強い。
「岡山の白桃やブドウが本当に大好きなんです。 祖母の実家がブドウを作っており、 シーズンに贈られてくるのが何よりの楽しみです」
「紫咲心那」 という美しい芸名にもこだわりがある。 実は 「紫」 は自身の名前の一部から取っており、 「那」 はやはり地元の名峰、 那岐山から頂戴したものだった。
「奈義町が大好き。 特に奈義町現代美術館から見る那岐山が一番のお気に入りです。 春夏秋冬、 季節の移り変わりを肌で感じられます」
今や劇団の人気はブギウギ効果も手伝って高まっており、 年内はシンガポールや横須賀など国内外での公演が次々と控える。 さらに来年2月6日には岡山県の倉敷市芸文館にて 「トップスター翼和希 REVUE SHOW!」 の開催が決定している。
「地元、 岡山の舞台に立つのが入団したときからの大きな夢でした。 地元の人にOSKの舞台を楽しんでいただき、 地元の子どもたちにはこういう華やかなレビューや舞台の世界があることを知ってほしい。 そして、 夢を持つきっかけになってくれたら嬉しいです。 そのためにもいつか本当の地元、 県北でも公演できるといいですよね」
好きな言葉は 「愛と奉仕と感謝」。 心那さんは愛する故郷への思いを力に変えて、 舞台の上から多くの笑顔と感動を届け続ける。 (山本智行)
◇紫咲心那 (むらさき・ここな) 9月25日生まれ。 岡山県勝田郡出身。 奈義中から山陽女子高 (山陽学園高) のミュージカルコースに進み、 2015年にOSK日本歌劇団研究所に93期生として入所。 入団試験を経て17年にデビュー。 切れのあるダンスと美しい歌唱力を持つ人気の娘役。 趣味はちいかわのアニメを観ること、 アクセサリー作り。