情熱的な演奏と哀愁漂う旋律で独自の音楽を繰り広げるスパニッシュギターデュオ「DON ALMAS(ドンアルマス)」が11月3日、津山市山下の津山文化センターでコンサートを開く。公演を前にメンバーの桜庭伸弘さんと谷島凜樹さんが津山朝日新聞社を訪れ、音楽への思いやステージの見どころなどを語った。
DON ALMASは、フラメンコギターの演奏技法を取り入れながら、ジャンルにとらわれない独自の音楽を追求する二人組。桜庭さんはエレキギター、谷島さんはクラシックギターと、それぞれ異なる音楽を原点に持つ。音の出し方や弾き方にも違いがあり、その個性を融合させた演奏が特徴という。
「ギターのコンサートと聞くと、皆さんが想像するものとは全く違うと思います」と桜庭さん。ステージでは激しい演奏に加え、照明や音響にもこだわり、音響スタッフには「クラシックではなく、ロックコンサートのような雰囲気で」と注文するという。幅広い世代に楽しんでもらえるよう、観客からのリクエストを取り入れ、さまざまなジャンルの楽曲を独自に編曲してきた。
二人が出会ったのは、フラメンコギターの師匠、伊藤日出夫さんのもとだった。
谷島さんは、フォークギターを弾いていた父親の影響でギターに興味を持ち、学生時代にクラシックギターを始めた。所属していたギター部の合宿などに特別講師として訪れていた伊藤さんの演奏に触れ、フラメンコギターの世界に引き込まれた。「クラシックとは表現の方向性が違う。自分が本当にやりたかったのは、こちらの音楽だったと気付いた」と振り返る。
一方、桜庭さんは小学生のころにギターを手にし、中学生でバンドを結成。エレキギターに打ち込み、音楽の道を志していた。高校生のころ、自分だけの音楽を模索する中で、好きだったスペインの建築家アントニ・ガウディを紹介するテレビ番組を見た。そこでフラメンコの踊りに合わせて奏でられるギターの音色に衝撃を受けたという。
「何だ、このギターは」。その音に魅了され、本場スペインへ渡ることまで考え、アルバイトで資金をためていた。しかし、周囲の勧めで伊藤さんを訪ねたことが転機となった。2000年4月に師匠と出会い、同じころに門下生となった谷島さんとともに学ぶようになった。
その後、二人は師匠の教室で指導にも携わったが、自分たちの音楽を追求するため独立した。
桜庭さんにとって、もう一つの転機となったのが2009年の海外旅行だった。当時はオリジナル曲がなく、今後の音楽の方向性に悩んでいた。イタリアやフランスを訪れ、スペインにも足を延ばそうと考えたが、直前で思いとどまった。
「本場のフラメンコに触れて影響を受けたら、自分たちの音楽ではなくなってしまうと思った」。あえてスペインには行かず、自分たちにしかできない音楽とは何かを問い続け、帰国後にオリジナル曲の制作を始めたという。「ガウディのおかげなんですよ、今のこの音楽は」と笑顔を見せた。
ユニット名にも師匠の思いが込められている。「ALMAS」はスペイン語で「魂」を意味する言葉で、「DON」は敬意を表す言葉。伊藤さんが大切にしていた「心こそ大切なれ」の精神が名前の原点となっている。
当初は「ALMAS」として活動していたが、師匠から突然「DONを付けると売れる」と提案された。桜庭さんは「最初は正直、ださいと思った。今までアルマスだったのに、いきなりドンアルマスですから」と当時を振り返って笑う。それでも今では名前に愛着を持ち、「師匠に感謝しています」と語った。
今回の津山公演では、映画「太陽がいっぱい」のテーマや「タイタニック」の「愛のテーマ」など、幅広い世代になじみのある楽曲も披露する予定。桜庭さんによると、「太陽がいっぱい」は曲名を告げずに演奏を始めても、客席から「懐かしい」と声が上がることがあるという。「タイタニック」についても「本当にギターで弾いているのかと思うくらいの編曲になっている。ぜひ聴いてほしい」と自信をのぞかせる。
今回のステージにはキーボードの森藤晶司さんも加わり、二人のギターとともに多彩な音楽を届ける。
谷島さんは、コンサートの魅力として、生演奏ならではの一体感を挙げる。「SNSやYouTubeなどで気軽に音楽に触れられる時代だからこそ、自ら会場に足を運んで聴きに来てくださることは本当にありがたい。私たちの演奏とともに、会場全体の一体感を味わっていただけたらうれしい」と話した。
桜庭さんも、激しいギター演奏とロックコンサートを思わせる演出など、従来のギターコンサートとは異なるステージをアピール。若い世代から年配の人まで、幅広い観客に楽しんでもらいたいとしている。
公演は午後3時開演。全席指定で一般5500円(当日同額)。小学生から大学生までを対象とした当日学生席は2000円。問い合わせはMIN-ON中国(電話086-256-0580)。

