「沖縄慰霊の日」(23日)に向けて美作大学体育館(岡山県津山市北園町)で21日、沖縄県出身の同大学生でつくる沖縄県人会による沖縄戦を舞台にした創作劇「時をこえ」が上映され、恒久平和への祈りを込めた渾身(こんしん)の演技に観客260人が見入った。
14回目となる今回は沖縄県の方言で「命(ぬち)どぅ宝(命こそ宝)」がテーマ。沖縄県糸満市にある「平和の礎(いしじ)」の刻銘碑に名前を刻まれた戦没者たちをモデルに、戦争を経験していない世代に争いの悲惨さと命の尊さを伝えようと同会1、2年生28人が熱演。現地を訪問するなどして脚本を制作し、4月から稽古を開始。6月に入ってからは週5日という練習スケージュールで作り上げてきた。
物語は一般市民も巻き込まれた激戦の中を生き抜いた女性が孫たちに当時について語る場面から始まる。舞台は過去へと移り、穏やかだった日常が爆撃とともに壊されていく状況を刻々と表現。戦火の中で逃げ惑う人々、上陸した米軍の襲撃に遭い命を落とす若い兵士たち、ガマと呼ばれる防空壕(ごう)の洞窟内での集団自決、大切な家族らを失った悲しみを鬼気迫る様子で演じた。音響と照明を駆使した激しいダンスの演出も心を揺さぶった。
最後に出演者一人一人が「戦争は人間最大の過ち」「語り手が少なくなっている中、風化させてはいけない事実と今も住民たちを悩ます問題を私たちが伝えていこう」「未来が平穏で幸せであるために」と訴え、地元の伝統芸能・エイサーを披露。
毎年この舞台を見に来場するという大田の白石信子さん(83)は「学生たちの思いが言葉にはっきり出ていて強烈な印象を残す。このような悲しみが二度と起きない世の中であるようにと強く願う」。両親と共に来場した松尾美佑さん(23)=神奈川県=は「過去の悲惨な出来事を若い人に伝える方法として良い取り組み。演者の感情が伝わってきて涙が出た。争いで問題は解決しない。争わずに理解し合う世の中をつくっていきたいと思った」と話していた。
主演として舞台に立ち、重要なテーマを訴えた新里楓華さん(18)=食物学科1年=は「さまざまな人たちの協力で最高の舞台を作り上げることができてうれしい。観客の皆さんの反応を見て、表現に悩みながらも練習に打ち込んだことが報われたように感じる。世界中の人々が平和に暮らすことができるように今後も戦争の残酷さと命の大切さを伝えていきたい」と語った。
