岡山県西粟倉村長尾の山あいにたたずむ「あるの森」は、築約130年の古民家を活用したカフェ兼民宿。里山の静けさに包まれた空間で、本格的なタイ料理が味わえるという意外性が、多くの来訪者を引きつけている。
店を営むのは、兵庫県出身の小林辰馬さんとタイ出身のペンさん夫妻。タイからの観光客に日本文化を体験してもらう場をつくりたいという思いから古民家を探し、西粟倉村でこの建物に出合った。「紹介を受けて見に来て、一目惚れでした」と振り返る。
建物はもともと寺の住職の住まいである庫裏(くり)。昔から人が集まる場所だったという。「ここに来ると落ち着く、空気が凛としていると言ってもらえることがある」と話す。店名の「あるの森」は、「時代を経ても大切なものがここにある」という思いを込めた。
のれんをくぐると、土間やいろり、縁側が残る空間が広がる。懐かしさを感じさせる和のたたずまいの中で味わえるのは、ペンさんが手がける本格的なタイ料理。
取材では、グリーンカレー、レッドカレー、マッサマンカレーの3種類を一度に楽しめる「トライカレー」と、西粟倉特産の鹿肉を使ったガパオライスを味わった。ジビエのうま味とスパイスの香りが調和し、地域と異国の食文化が融合した一皿に仕上がっている。
スパイスはハーブなどを自ら石臼で砕いて調合。オーガニックや生産者にもこだわった食材選びも特徴で、丁寧に作られた料理が並ぶ。
カフェ営業のほか、宿泊やイベント利用も可能で、結婚式の披露宴が開かれたこともある。家族連れから遠方客、企業研修で村に訪れた海外の方まで客層は幅広い。「ゆったりとした時間と自然を楽しんでほしい」と辰馬さん。その言葉の通り、食も空間も、自然と人に寄り添う形へ整えられている。
営業時間は午前11時から午後2時(ラストオーダー午後1時)。月曜と第1・第3火曜休み。混雑時は入店できない場合もあるため、事前予約がおすすめ。
問い合わせは、 あるの森(090ー8531ー6189)。

